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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

一般社団法人の吸収合併

 
このページでは一般社団法人及び一般財団法人に関する法律を「法人法」といいます。

一般社団法人の吸収合併

法人法第2条によると、吸収合併とは、一般社団法人又は一般財団法人が他の一般社団法人又は一般財団法人とする合併であって、合併により消滅する法人の権利義務の全部を合併後存続する法人に承継させるものをいいます。

以下、一般社団法人同士の吸収合併について見ていきます。権利義務の全部を承継し合併後に存続する一般社団法人を存続法人といい、合併により消滅する一般社団法人を消滅法人といいます。

吸収合併手続きには、最短で1.5ヶ月の期間、通常は2ヶ月程度の期間がかかるため、思い立ったとしても明日すぐに吸収合併ができるわけではありません。また、吸収合併は効力発生日までに一定の手続きを経なければならないため、スケジュールを立てて手続きに抜けや漏れがないようにすることが重要です。

存続法人の種類

吸収合併をする法人が一般社団法人のみである場合は、存続する法人は一般社団法人でなければなりません。また、吸収合併をする法人が一般財団法人のみである場合は、存続する法人は一般財団法人である必要があります(法人法第243条1項)。

一般社団法人と一般財団法人の吸収合併の場合でも、当該一般社団が合併契約の締結日までに基金の全額を返還していないときは、一般社団法人が存続する法人でなければなりません(法人法第243条2項)。

吸収合併のスケジュール

4月1日を効力発生日とするスケジュール例です。

日程
存続法人
消滅法人
1月中旬合併の準備
(合併契約内容の検討、債権者の確認等)
合併の準備
(合併契約内容の検討、債権者の確認等)
2月1日理事会決議
(合併契約承認、社員総会招集決定)

官報公告の申込み
理事会決議
(合併契約承認、社員総会招集決定)

官報公告の申込み
2月10日合併契約の締結合併契約の締結
2月25日官報に合併公告が掲載

債権者への個別催告

書面の事前備置
官報に合併公告が掲載

債権者への個別催告

書面の事前備置
3月1日社員総会招集通知の発送社員総会招集通知の発送
3月25日社員総会決議(合併契約承認)

債権者異議申述期間満了
社員総会決議(合併契約承認)

債権者異議申述期間満了
4月1日合併の効力発生合併の効力発生
4月1日以降合併の登記申請(2週間以内)合併の登記申請(2週間以内)

吸収合併の一般的な手続き

吸収合併の一般的な手続きは次のとおりです。吸収合併を行う法人の事情等により、他の手続きが必要となるケースもあります。

吸収合併契約の締結

吸収合併をする法人は、合併契約の締結が必須です(法人法第242条)。合併契約において最低限、次の事項を定める必要があります(法人法第244条)。

  1. 存続法人・消滅法人の名称・住所
  2. 吸収合併の効力発生日
書面の事前備置

存続法人・消滅法人は債権者保護手続き等の合併手続きを行う日から、一定の事項を記載した書面等を主たる事務所に備え置かなければなりません(法人法第246条1項、第250条1項)。消滅法人では効力発生日まで、存続法人では効力発生日から6ヶ月を経過するまで備え置きます。

以下は一定の事項の一例です。
【存続法人(法人法施行規則第77条)】

  • 存続法人・消滅法人の計算書類等に関する事項
  • 効力発生日以降に存続法人の債務の履行の見込みに関する事項

【消滅法人(法人法施行規則第75条)】

  • 存続法人の定款の定め
  • 存続法人・消滅法人の計算書類等に関する事項
  • 効力発生日以降に存続法人の債務の履行の見込みに関する事項
官報公告

存続法人・消滅法人はその債権者の保護のために、官報公告によって、合併をすること、合併をする相手の名称・住所、原則として貸借対照表の要旨、債権者が一定期間異議を述べることができる旨、掲載しなければなりません(法人法第248条2項、第252条2項)。

これは法人の公告方法として日刊新聞紙や電子公告、主たる事務所の掲示板と定めている場合も同様です。

合併公告と一緒に貸借対照表の要旨も掲載する場合は、官報申込みから10~11営業日程度、貸借対照表の要旨を掲載しない場合は5~6営業日程度、申込みから掲載まで要します。

※基金の返還にかかる債権の債権者は、債権者保護手続きから除外されています(法人法第248条6項、第252条6項)。

債権者への個別催告

官報公告と併せて、各債権者への各別の催告も必要とされています。

この各債権者への催告は、定款で公告方法を日刊新聞紙や電子公告と定めているときは、官報公告に加えて定款の公告方法による公告を行うことにより省略することができます。公告方法が官報または主たる事務所の掲示板である法人は各債権者への催告を省略をすることはできません。

参照(⇒いわゆるダブル(二重)公告

社員総会招集通知

社員総会を開催するときは、理事会設置法人は総会日の1週間前、書面投票または電子投票を実施する場合は2週間前までに招集通知を発送しなければなりません(法人法第39条1項)。理事会非設置である法人は、定款で1週間よりも短い期間にすることも可能です。

1週間前に招集通知を発送する必要のある法人は、発送日から社員総会開催日まで、中7日間が必要となります。例えば3月25日(水曜日)に社員総会を開催するときは、3月17日(火曜日)までに招集通知を発送しなければなりません。

社員総会の決議

存続法人・消滅法人ともに、効力発生日の前日までに社員総会において吸収合併契約の承認を受けなければなりません(法人法第247条第251条)。この決議は原則として、総社員の半数以上であって、総社員の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う必要があります(特別決議、法人法第49条2項)。

吸収合併の効力発生

吸収合併においては、登記が効力発生要件ではないため、吸収合併契約書において効力発生日と定めた日に吸収合併の効力が発生します。そのため、効力発生日として法務局が開いていない土日祝日を定めることも可能です。

吸収合併の登記申請

吸収合併の登記は、効力発生日から2週間以内に、吸収合併存続法人の変更登記と吸収合併消滅法人の解散登記を【同時】にしなければなりません。

【存続法人の添付書類(一例)】

  • 吸収合併契約書
  • 合併契約を承認した社員総会議事録(存続法人・消滅法人)
  • 債権者保護手続き関係書面
  • 消滅法人の登記事項証明書(存続法人と管轄法務局が異なる場合)
  • (消滅法人と管轄法務局が同じ場合で、会社法人等番号を記載した場合は不要)

  • 委任状(司法書士に依頼する場合)

【消滅法人の添付書類】
不要

書面の事後備置

存続法人は、吸収合併の効力発生日以後遅滞なく、法務省令で定められている事項につき記載した書面または電磁的記録を作成しなければならず、効力発生日から6ヶ月間法人の主たる事務所に備え置かなければなりません(法人法第253条)。

法務省令で定められている事項とは、吸収合併の効力が発生した日、当該合併により承継した重要な権利義務等です(法人法施行規則第80条)。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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