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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

御社の登記簿、チェックしてみてください。

御社の登記簿は大丈夫ですか?

登記をしなければならない期間と登記懈怠

株式会社は、登記の事由が発生してから2週間以内(支店においては3週間以内)に、その変更の登記をしなければならないとされています(会社法第915条第1項)。登記はその申請をしてから完了するまで1日から長くて2週間程度かかることもありますが、登記をしなければならない登記期間とは、その期間の終わりまでに登記が完了している必要はなく、その期間中に登記の申請をしておくことが求められています。

なお、登記の事由が発生してから2週間以内(支店においては3週間以内)に変更の登記をしなかったときは、100万円以下の過料に処せられる可能性があります(会社法第976条第1項)。

法令を順守していると思っていても・・・

会社法や商業登記法、商業登記規則や法務局の運用は変更・改正されることがあり、それを都度確認することは法律職に就かれている方でないとなかなか難しいかと思います。また、例えば司法書士でも会社法・商業登記が得意な方とそうではない方がいらっしゃいます。

少しだけ宣伝になりますが、汐留司法書士事務所は会社法・商業登記を得意としている司法書士事務所であり、ご依頼いただくお仕事の多く(8割以上)がありがたいことに商業登記となっております。会社法・商業登記に強く、英文での対応が可能な司法書士をお探しの方は、ぜひ当事務所にご相談ください(宣伝終わり)。

当事務所がスポットで商業登記のご依頼を受けた際に、会社の登記簿謄本や定款などを見てこうしておけば良かったのに・・・と思ったいくつかの例を挙げさせていただきます。

商号について

会社の商号では、ローマ字の間に全角スペースを入れることができます。

例えば、株式会社ShiodomePartnersGroupでももちろん間違いではありませんが、株式会社Shiodome Partners Groupのようにスペースを空けることができると知っていたのであれば空けたかった、のであればもったいないですね。スペースを空けるだけでも商号の変更登記が必要となり、商号を変更するのであれば登録免許税が3万円かかります。

ちなみにカタカナや漢字、数字の間にはスペースを入れることはできません。

≫商号の付け方・ルール
≫商号変更登記手続きと登記費用

目的が足りない

旅館を運営する、あるいは建設業を営むなどの一定の事業を行う会社は、行政の許認可を得る必要があります。この許認可の申請を行う際は、会社の目的にその業務を行う旨の文言が無ければなりません。

会社設立時にそのことを知らず、あるいは知ってはいたけれどもその記載が足りなかったために、会社設立後に目的変更の登記をしなければならなくなった会社もあります。

≫会社の目的

発行可能株式総数が少ない

発行可能株式総数1,000株、発行済株式総数500株で設立された会社の募集株式発行(増資)にかかる登記のご依頼を受けるケースがあります。もちろんこれ自体何の間違いでもありません。株主他利害関係人が多く、あえてそのようにしている会社もあります。

しかし、株主も1名で設立後に増資をすることがある程度予測できていたのであれば、発行可能株式総数をもう少し多くしておいた方がいいかもしれません。上記の会社が増資をするにあたり、新しく発行する株式が500株を超える場合は、発行可能株式総数の変更登記も増資と併せて行わなければならず、増資の登録免許税とは別に、発行可能株式総数の変更登記分として3万円の登録免許税を納める必要があります。

≫発行可能株式総数

増資の際、出資額の一部を資本準備金に計上できることを知らなかった

株式会社の場合、募集株式の発行(増資)の出資された金額のうち、2分の1までは資本金ではなく資本準備金として計上することができます。もちろん、出資された金額を全額資本金に計上することは何の問題もなく、意図的にそうされる会社も少なくありません。

資本準備金に計上する意味はあり、登録免許税が安くなったり、資本金を1000万円未満に抑えたり(消費税)、資本金を5億円未満に抑えるなど(大会社)、資本準備金に計上できることを知っていれば計上してた、というケースもありました。

なお、合同会社が増資をするときは、出資された金額のうち全額を資本剰余金に計上することが可能です。全額を資本剰余金に計上した結果、資本金に変動はありませんのでその変更登記も発生しません(資本剰余金は登記事項ではありません)。

≫合同会社における出資額と資本金の額

増資の際、自己株式を交付したのに資本金を増やしてしまった

株式会社が募集株式の発行(増資)を行うときは、出資者に対して新しく株式を発行してそれを交付することも自己株式を交付することもできます。自己株式を交付したときは、資本金・資本準備金の額に変動はありません。

≫募集株式の発行時に自己株式のみ処分をしたときの登記

取締役の任期が既に満了していた

取締役の任期は単に選任してから10年後(2年後、1年後)ではなく、選任後●年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで、です。

会社法においては上記のような任期の規定なので選任日が1日違うだけで任期が1年変わることや、事業年度を変更したために計算が少しずれたこと、増員・補欠取締役として選任したこと、取締役のメンバーが変わらないため登記は不要だと思ってたことなど、様々な理由から実は取締役の任期が満了していたというケースがあります。

取締役の任期が満了していたのにその登記を1年間放置してしまっている場合は、1年間の登記懈怠ですのでもしかしたら過料に処せされてしまうかもしれません。

≫取締役、監査役の任期の計算方法

監査役の監査の範囲の登記をし忘れている

平成27年5月1日から施行された改正会社法等により、「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定め」がある株式会社については、その旨の登記をしなければなりません。

この登記は、改正会社法が施行されてすぐにしなければならないものではなく(することもできる)、施行後に既存の監査役が重任(再任)したときや、新しく監査権限が会計に関するものに限定されている監査役が選任されたときなどに行わなくてはなりません。このように行わなければならないケースに該当はしているのに、当該登記をし忘れているケースがあります。

≫監査役の監査の範囲に関する登記

大会社に該当しているのに会計監査人が設置されていない

資本金の額が5億円以上または負債の額が200億円以上の会社は、会計監査人を設置しなければなりません。それにもかかわらず、会計監査人を設置していないケースもあります。

なお、資本金の額が5億円以上または負債の額が200億円以上になったらすぐに会計監査人の設置義務が発生するのではなく、最終事業年度にかかる貸借対照表においてその条件を満たしたときに会計監査人の設置義務が発生します。

≫大会社への移行と会計監査人の設置

責任免除規定と会計限定監査役の併存

取締役が2名以上いる監査役設置会社は、責任免除規定を定款に定めることができ、当該事項は登記事項となります。

監査役の監査権限が会計に限定されているのにもかかわらず、責任免除規定が登記されているケースがあります。なお、当該会社が監査役の監査の範囲の登記をするときは、責任免除の登記と監査役の監査の範囲の登記は両立し得ないため、登記官から補正または却下されると思います。

≫会計限定監査役設置会社と監査役設置会社

行使期間の経過した新株引受権や新株予約権の登記が残ったまま

新株引受権や新株予約権の行使期間が満了しているのに登記簿に残っているケースがあります。新株引受権や新株予約権の行使期間が満了したときは、その翌日から2週間以内に行使期間満了による抹消の登記を申請しなくてはなりません。

存続期間を経過している

会社がその存続期間を定めたときは、その旨の登記申請をする必要があります。たまに、その存続期間が経過してしまっている会社があります。

吸収合併で、官報公告の際の会社名を間違えていた、催告をしていなかった

吸収合併や吸収分割などの組織再編行為において、各種手続きは自社で行い、登記申請のみをご希望される方もおります。ご用意いただいた書類を確認すると、債権者保護手続きにかかる官報公告で前株と後株を間違えていた、公告をすれば債権者保護手続きが全て終わったと思ってしまい各債権者へ個別催告をしていなかったというケースがあります。

債権者保護手続きに不備があると当該手続きをやり直さなければならないため、そこから1ヶ月以上もかかってしまいます。

本店移転したのに、支店の登記簿の変更登記をしていない

支店の登記簿には商号・本店所在地・支店所在地が記載されています。会社の本店を管轄する法務局に本店移転の登記申請をしても、支店の登記簿の本店所在地は自動的には変更されることはありません。支店を管轄する法務局に別途登記申請をしなくてはなりません。

外国会社の日本支店閉鎖の際、公告の本店が日本における代表者の住所

営業所を設置している外国会社で、その営業所の所在地が日本における代表者の住所と異なる場合、「日本における全ての代表者の退任公告」に記載する住所が日本における代表者の住所となっているケースがあります。

営業所を設置しているのであれば、記載する住所はその営業所の所在場所です。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
様々なサポートを行っております。


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